ハミルトン

 同世代の海外からの友人を迎える喜びは、現在その地で話題になっていることを実感しているご本人の口から聞くことで、それぞれの個性や関心のあり方の違いを越えて、さまざまな刺激をいただくことができてワクワクする。

 

 忙しくてなかなかゆっくりお会いできなくても、電話口で「ハミルトンを知っている?」と突然聞かれて「ハミルトンて、ジョージ・ワシントンの片腕のあのハミルトン?」「それを知っていったらこの話は勧められる。いまブロードウエイでは『ハミルトン』というミュージカルが話題なの、聞いたことある?」「知らない」「ロン・チャーナウ著の『アレキサンダー・ハミルトン』をプエルトリコ系移民の子で1980年ニューヨーク生まれのリン・マニュエル・ミランダが、5年間かけてヒップホップで書き上げたハミルトンの一代記が大変な評判でチケットがなかなか手に入らないのよ」「ヒップホップでミュージカルなんて、時代を感じるわね」「私もこの話を最初に聞いた時は同じ感想を持ったわ、Tが(彼女のお嬢さま:ニューヨークで活躍中のワーキングウーマン)ぜひ見るようにしつこくすすめるので行って驚き、3時間近く、ヒップホップで独立戦争前後のアメリカ建国の様子を見事に表現しているの。新鮮で、解りやすく、リズミカルで、あなたにもぜひ見ていただきたいお勧め作!!この後は(ニューヨーク以降)シカゴ、サンフランシスコ、ロンドンでの公演が決まっているらしいけれど、あなたはニューヨークが良いでしょう?ミセスRにお孫ちゃんが出来たと聞いたのでお祝いもかねて、ぜひ近々いらして。

 ヒップホップ対策だけれど、早速ネットで曲を一曲ずつ買って、iphon で何度も聞いて事前に耳を慣らすこと。通常のヒップポップよりゆっくりで解りやすい英語なのであなたにもわかると思う。ストーリーを追えなければせっかく劇場に足を運んでもつまらないので、事前の耳の訓練は忘れないで!!」「ありがとう。それにしても、原作者名に始まり、これだけの内容(実際にはチケットの購入法や座席配置、時間帯等々も)をよく覚えていて、一気に話せるわね?」と感心すると「ミュージカルを観たのは来日直前で、東京についたらこれを紹介しようと張り切っていたから」何と嬉しいメッセージ!

 

 夜、この話を家族にしたら彼らはすでによく知っていて、「ミランダはハミルトンがカリブの出身なので、彼の祖国プエルトリコと重なって共感をよんだのだと思う。 ハミルトンは頭脳明晰で特に数字に強かったそうで、初代の財務長官としてJ・ワシントンを支え、90%以上を農業に依存していた時代に銀行を創ってビジネスを起こしイギリスのジョージ三世に疎まれたらしい。

 オバマ大統領もこのミュージカルには関心が高くて、ミランダをホワイトハウスに招いたときの様子はYouTubeで見ることができる。金持ちの財団は、子供たちにこのミュージカルを見せたいと、毎回何席かを買って子供を招待したり、安く見られる席を用意して、様々な工夫が施されているのも特徴。話題が話題をよんで、さらに盛り上がっているが、それにしても原案、脚本、作詞、作曲と全てを一人で創りあげ、しかも主役を演じているミランダは凄いよ」なるほどそういうことだったのだ。

 

  ということは、『ハミルトン』は、日本で言うと幕末から維新にかけて活躍した・・・、いやその前にせっかく素晴らしい情報を入手したのだから、さっそくiphonにヒップホップを入力して聞き始めなくては!!