元気をたくさん貰った午後

 友人が声をかけてくださり午後から欲張って映画と絵を鑑賞する。冬に逆戻りしたような寒い日には、こんな過ごし方が心身共に暖かくなって一番贅沢。友人に感謝!

 

 六本木ヒルズの東宝シネマでの映画鑑賞は久しぶりで、ここを訪れるといつも思い出すのが20年ちょと前、この劇場づくりに若い夢を思いっきりぶつけていた日系二世の青年の姿が懐かしい。最近は音信不通になっているけれど、ここでの成功がその後の彼に更なる自信と挑戦意欲をかきたたせ、どこかの地で活躍していることだろう。

 

 今日の映画は『オデッセイ』、火星に一人取り残された主人公のキャラクターが実にいい。生き残るために限られた条件と制限の中で、できることに全身全霊で突き進む。残されていた食材のジャガイモを種に食品確保の栽培が始まる。まずは酸素づくりから、水滴、水、一定温度の確保と維持、肥料づくり等々の過程で、マークには悲壮感はなく、残されていた船長の趣味の悪い?音楽(ディスコ・ミュージック)に励まされて収穫にまで辿りつく。だが巨大宇宙は甘くない。常に大自然の驚異を感じながら、それでも動き続けることで地球への生還を実現した。その過程で、困難を乗り越えるたびにマークのパッションと意思力に感動して涙が出た。映画だと解っていてもついつい感情移入してマークを応援している自分に笑ってしまった。それと同時に困難なときにこそユーモアのセンスと悲観しない強い心、そして心を引き上げる音楽の大切さをあらためて知らされた。

 

 熱いたっぷりのコーヒーでひと休みをして、心をリセットしてから、

森美術館で開催中の村上隆の『五百羅漢』を鑑賞。全長100m、高さ3メートルの壮大で繊細な中に、ここにもどこかユーモアのセンスが漂っていてテーマが重過ぎず、時間をかけて楽しんだ。現代アートからのメッセージは、全体をまるでアニメのキャラクターのように表現して、受け止める側との距離感を縮めるアーティストの懐の深さを感じ、お見事と脱帽した。

 このテーマは、東日本大震災後に村上氏がテレビで被災者のドキュメンタリーを見たのがきっかけで、アクリル材で色鮮やかに500人の聖者を描くことで、日本人の宗教感を表現したのは、グローバルに活躍しておられ、世界の今を知る村上氏ならではの、強烈なメッセージであると受け止めた。

 

 アメリカの作品と日本人の作品、両方に通じる地球上に住む三次元的発想と壮大な宇宙観、ミクロとマクロ、地球空間だけではすまなくなった思考が求められていることを、楽しみながらあらためて実感させられた午後でした。