一期一会

 ご活躍の様子は、様々な情報を通して知ることができる。が、久しぶりにご本人と直接接触を持ちたくなり、手紙を書いた。お忙しいのにすぐにメールで近況を知らせてくださり、その中に驚きのニュースが含まれていた。

 共通の知人が海外の勤務先で、約一年前に急死なさった知らせであった。

まだお若く、お会いしたときはいつもお元気だったので、俄に信じられなかった。

 彼のリーダーとしての特徴は、他者を深く思いやる伴走者タイプであった。

シャープな頭脳の持ち主で、品のいい英語を話す海外勤務で鍛えられた国際人であったが、国内では必要なとき以外は決して英語は口にしない謙遜さで、ひたすら弱者を救い上げようと、そのような状況に側面したときには、見ていてハラハラする程熱心に取り組んでいた。

 最後にお目にかかったのは、4年前、私がある学会で話をしたときに、わざわざ聴きにきてくださり、終了後「代表の別な一面をみました。」とポツンと仰ったので、「それは良い一面ですか、それとも・・・」「幅を感じました。ちょっと驚きました。」「では褒めていただいたと受け止めます。」と申し上げたら、「今日はこの後引っ越しの手伝いを約束しているので、後日ぜひ今日の話の続きを聞かせてください。連絡します。」と握手をして爽やかな笑顔で別れた。直後の急な海外勤務。

 

 「詳しいことは分からないので僕もニュースを知って驚いています。忙しいけれど、必要なときにはいつでもメールでお知らせください。お会いしましょう。」

このとき程”一期一会”を深く意識させられたことはなかった。辛いニュースだった。