偲びて終わり悔いなし

 昨日のお昼近くにドキュメンタリー映画の件で監督と確認の打合せをして電話を切り、パソコンの画面に目を移したら、「高倉健11月10日悪性リンパ腫のため死去 83歳」というメッセージが飛び込んできた。あわてて再び電話で「監督、ご存知でしたか?高倉健さんがお亡くなりになったこと」「ウヒェー、本当ですか。そんな・・・」驚きであとの言葉が続かないご様子がひしと伝わって来た。


 いつも凛とした若々しさと、生活臭を出さない生き方、上手に年を重ねているお姿に感心し、よほど自分に厳しくなければこのような生き方は出来ないだろうと憧れていた。

 その後、生前の高倉さんを偲ぶエピソーが次々と披瀝されていたが、仕事に向きあう姿勢にも独自の美学があって、頑にそれを守っていたことを知った。

内容の好みや善し悪しはべつとして、自己のこだわりや信念が明確で、それを他者に迷惑をかけない範囲で、己の中で頑に守り続けたことが一つのスタイルを生んだと理解し、職人気質の日本の男の姿をそこに見た。『カッコイイ』とはこのことを言うのではないか。何よりも辞世の言葉にそれが集約されていた。

       ー往く道は精進にして、偲びて終わり 悔いなしー

ご冥福をお祈り申し上げます。