素晴らしい本に出会った。

 7月のある週末の夕方、散歩をかねて2つ先の駅の近くにある本屋を覗きに行った。そこで『日本人ルーツの謎を解く』という興味津々のタイトルに出会った。というのも、私はここ5年近く、日本の成り立ちや日本人の自然観と宗教などに関心を持ち、これまで全く知らなかった新しい世界を知って感動している。感動すると誰かに伝えたくなり、その延長線上に現在製作中のドキュメンタリー映画『きざし』がある。これらの原点は日本を元気にしたい一念からではあるが。

 

 横道に逸れてしまったが、私の感動は、この本の著者との出会いである。長浜浩明氏。本の著者紹介によると、環境工学がご専門らしく35年間に亘り企業で建築の空調・衛生設備設計に従事、国内外の超一流建築をご担当になられたようであるが、私の興味はそのようなお立場にあって、その視点から気になる社会問題や、歴史の事実を、必ず裏づけとなる証拠を示しながら綿密に解き明かして読者を説得する文章にある。日本人のルーツを考古学者達の最新の情報を縦軸に、ご本人の理系の分析力や環境工学者としての現場でのご経験を横軸に、曖昧さや疑念は固有名詞を出してバサバサ切りながら持論を展開するところである。ご自分の発言や発信に責任を持つ姿勢が好ましい。

 そして週末に読んだ『「脱原発」を論破する』では、副題がー今、日本人の知性が試されている!ーとあるが、この本を読んで確かに私も気づかないうちに陥っていた考える力の低下や、情報収集後の整理が下手なこと、一貫性のなさ、大きな名前の人の発言には疑いを持たずに聞いてしまう危うさ等々を指摘されたと受け止め、背筋が伸びた。ぜひ、ご一読をお勧めします。