週末の京都 Ⅱ

 今回の京都訪問の目的は伏見稲荷の撮影。

何とドキュメンタリー映画制作の第二作目の撮影を開始したのだ。

早朝2時40分にホテルを出発して、周囲はまだ深い眠りのなかにある、誰もいない伏見稲荷大社に3時到着。入り口正門からご本社までの両脇に柔らかい小さなひかりが灯されていて、暗闇に浮かびあがる建物や鳥居の朱色のコントラストが幻想的だ。

監督はさっそく撮影開始。人の気配を察した鳥たちが声をあげはじめる。その可愛らしいちょっとせかせかした鳴き声は、互いに情報の伝達をしているように聞こえる。

 

 1300年の歴史と全国4万社の稲荷神社の総本山として京都、伏見区にある神社で、東山三十六峰の最南端に位置する霊峰は、古くから”三ヶ峰”と呼ばれてきた、降臨の地に相応しい山容をそなえている。

「お塚信仰」といわれるお山一帯に点在するお塚は数万基にものぼり、平安時代からお塚詣りをすれば福がいただけると多くの人が足を運んだと聞く、そしてその信仰は連綿と今も続いている・・・。その間の辻や峰にしつらえられた1.000本の鳥居の美しさ。「朱」色は生命力の象徴として、魔除けとして、長寿の秘薬として、防腐剤として珍重された原料の丹砂で塗られているという。この鳥居を何度もくぐり、若葉と若葉の間から注がれるこぼれ陽を浴び、お山を駆け巡りながら、1.300年前と現在を行ったり来たりした贅沢な2日間であった。