父から勧められた本

近年は歴史、科学、医療、そしてビジネス書等を読むことが多く、小説からは遠ざかっていたが、過日98歳の父が「これはよく調べて書かれているので、なかなか面白かった。時間のある時に読みなさい。」と『海賊とよばれた男』上下を差し出した。著者の百田尚樹さんのお名前も初めて目にした。しばらく放置していたが、父はなぜこの本を読むよう勧めてくれたのか、が気になって、2.3日前から読み始めた。ノンフィクション小説で、石油元売会社出光興産の創業者の話であることが読み進むうちに分かった。小説であるから100%史実に基ずいているかというと、多少の脚色があったとしても、主人公出光佐三氏は自己の信念を曲げないで生涯闘い続けた、決して諦めない経営者だったことを理解した。国と闘い、官僚や同業者と闘った。会社に銀行や官僚の天下りは入れなかった。日本の石油会社のほとんどが、セブンシスターズにのみ込まれていくなかで、護送船団から外れて一社だけ違うことをする。作者曰く、出光を絶対視するわけではないし、当時の時代背景もあったとは思う。あの生き方が現代でも通用するかといったらわからない。ただ、人に対する信頼という彼の信条はいつの時代にも通用する。という言葉と、頑固一徹で清廉潔白な人生を歩んできた父の生き方に重なり、本の内容に共感したのだと思った。