開く

 年末の大掃除の後、正月の茶室の床の間に掛けるお軸とお飾りをいろいろ考えた結果、書は紫野太玄老師の筆による「開く」、床飾りは「招福鈴」を選びました。

 深い緑の森の中、巫女さんたちがお神楽で鳴らすあの清らかな鈴の音に招き寄せられるように、新たな真っすぐな道が開かれていくことをイメージして選びました。

 

 最近、ほとんど使っていなかった茶室も、お正月の設えで本来の役割を取り戻したかのように蘇っていきいき感を取り戻し、嬉しくなり、暫くその場に留まって力強い老師の”開く”を眺めていたら、体中に元気が漲って「頑張ろう」という気力を沸き立たせてくれました。字の持つ力、言葉の意味の持つ力をあらためて感じ、今年はわたくし自身の語る言葉に、もっと注意と責任を払いながら、伝わる言葉を選んでゆきたいと思いました。

 丁寧に話しているつもりが、内容の重複や、不必要な長い説明は避け、肝心のメッセージは曖昧にならないように心がけて、招福鈴の音色のように、涼やかで心地よい音とリズムでお伝えしたいと決意を新たにしました。

 

 なかなか目を通すことができなかった師匠からご恵贈賜った『2017年を予む』を、事例ごとに静かに読み、考える時間が得られたことにも感謝でいっぱいです。

世界は、日本は、どこへ進もうとしているのか、歴史と地政学を参考にしながら、これまでも様々なことを一緒に考えてきたアメリカや日本の友人たちと今年も自由に語り合い、私たちの考えたことをお分かちしながら、少しでも誰かのお役に立つことができたら嬉しく存じます。

 年末に衝動買いした『村上海賊の娘』全4巻と佐藤優氏の『世界観』、その他ビジネス書2冊を4日までにどこまで読めるか、わたくし自身との戦いであり、出来そうにないことをあえて今年は『開く』 の実践で変えてゆきたいと少し大きめのビジョンでスタートを切りました。