フォローアップ

 コーチングは、グループを担当したときもマンツーマンでの対応も、現場で実施しているときが、個人的には一番充実感がある。わたくしは人か好き、成長に寄り添い共にあれこれ挑戦することが好きだとあらためて思う。カリキュラムに沿ってご一緒に考え、相手が思ってもなかった新しい道を指し示して誘導し、気づきや、別の思考回路を本人は無自覚なまま活用して、より豊かなアイディアを生んでいるのを確認できたときは心からうれしい。

 実施期間が終了して数ヶ月後、数年後のフォローアップも、ワクワクする時間で、

何年経っても、気づきや学びを継続してご自身のものにしている実践結果の報告や「あのときの、あの一言に衝撃を受けて、思い切って飛び込んでみたら、少しずつ手応えを感じて納得し、以来継続しています。」などのコメントは特にうれしい。学びの持続は本人の成長願望と実践力、そして当方への信頼から成り立ち、その結果共通の価値観が生まれて共感が広がるのだから終わりがない。

 

 昨日のフォローアップもそんな時間だった。相手は若手女性ピアニスト。マンツーマンのコ−チングが終了して2年半が経過した。「その後いかがお過ごしですか?」のメールに、『実は、先月末にプロポーズされました。」のうれしい返信をいただき、さっそくお祝いも兼ねた拡大ランチつきのフォローアップとなった。

 中学生のときに彼女の父親の転勤でロスに家族で移住。突然の異文化と異言語に苦しみながら、幼いときから習い親しんできたピアノを心の拠り所に、置かれた場所で一つ一つの困難を乗り越えやがて大学ではピアノ科を専攻して何と大学院にも進み、終了と同時に帰国した経歴の持ち主である。人間形成の多感なときに、海外で苦労をして乗り越えた自信が、今日の彼女の人格を形成する重要な核になっていて、ピアニストとしての活躍の幅は広い。外見のおっとりしたやさしさとは対照的に、自らに課す厳しさは、ピアノ演奏時の力強い大胆なタッチが証明している。将来が楽しみな演奏家である。

 そんな彼女の目下の懸念は、結婚後に子供を持つ不安であった。理由はキャリアアップの中断や、育児環境、経済維持など、地に足のついた現実的で明確な予測だったので驚き、同時にうれしかった。ただ、彼女が出した答えは悲観的だった。友人や先輩からの助言の結果だと話していたが、私の視点や取り組法は、いま彼女が置かれている周囲の視点とは違うポジティブで現実可能な第三の提案だった。やり取りをしている間に、彼女の表情はドンドン明るくなって、「ウーン、全く考えられなかった。でも確かにそうですよね。成る程。出来そうな気がして来ました。出来ます!」「あら、まだ確定は出来ませんよ、だって今は、大切なパートナーの同意も必要なのだから、どうぞうまく説得してくださいね。」と返し、二人で大笑いをした。

 

 ちょうど、女性の働きを支援するプログラムを製作中だっだので、キャリアアップと結婚に関しても改めて考える機会を戴き、充実したランチ・タイムを過ごした。