女性の大統領候補

 アメリカの大統領選に関するさまざまな話題が連日ニュースになり、内容を知るたびにため息が出る状況にうんざりしている。これが11月まで続くのだからたまらない。反面、国のリーダーを長い時間をかけて国民が選ぶことの大切な意味を考える。

 ペルーでは決戦投票になり、それも大接戦で、77歳で政治経歴が長い元首相男性候補と父親が現役大統領時代に彼をサポートし、その結果独自の政治路線で改革を訴えた41歳の女性候補との戦いの結果に、この国の近未来を考えさせられた。

 まもなく開催されるブラジルでの初のオリンピックは、大統領不在で実施せざるを得ない政治状況に陥ったが、これもこの国の国民の選択である。

 上記の3例に、女性が大統領として、また大統領候補として出ていることが特徴で、このように男女の別なく女性が果敢に挑んでいる状況は、長い間女性たちが望んできたことだった。大統領候補として立った女性たちとそれを受け入れて選択肢に入れる国民の双方に、機が熟してきたとみて良いのだろう。

 彼女たちの聴衆に向きあう様子と訴えを聴いて【鍛えられた】姿を確認する。

良くも悪くもその国の顔として舵取りをし人々を引っ張ってゆく覚悟が明らかに見て取れる。

 

 ひるがえって、この国にはいつ同様の状況が起こるかを考えると少し時間が必要な気がする。長い歴史があり、建国当時は複数の女性天皇が大活躍した記録が残されている。が、近年の一番の弱点は男女を問わずこの国のリーダーの取り組に自覚の甘さを見せられて失望させられることが多い。サミットにおける総理の独善的で無自覚な失言。東京都知事の立場を利用した公私混同と言い逃れの詭弁。政治家になることやトップの地位を獲得するのが目的で、そこに辿り着いた後はそれらしいパフォーマンスに徹し、国民や都民のために今、何をしなければならないか、何が出来るのか、問題意識を持って身を粉にして働く様子が見えない。自らが主役の勘違いでは、口から出る言葉は借り物や言い逃れで空虚になり、聞いている方が戸惑いを感じる。

 

 リーダーシップを鍛える基本や、考える力、表現力を身につけて、政治をはじめ組織や企業で男女の別なく活躍する方々が増えることを強く願っている。

その結果、自ずと女性の首相候補が生まれると信じている。