ワシントンDCから来た友人と過ごした午後

 ワシントンDC在住の友人の来日は待ち遠しかった。

 

 昨年末に六本木で東京在住の友人と3人で食事をしているときに、突然「この三人の知恵を活かして女性リーダーのためのプログラムをつくりたい」と閃いた。その場で二人に提案すると、強い関心と協力を約束してくださったので、すぐにカリキュラムの制作にとりかかった。以来月2回、三人でミーティングを開いて全体像と流れがほぼ出来あがった。

 

 このきっかけをくださったのが、ワシントンDCに住む友人で、ある時「IMFのクリスティーヌ・ラガルド総裁は高校生のとき、ここワシントンDCのボーディング・スクールであなたのニューヨークの親友ミセス・Rと同級生だったのよ、ご存知?」と聞かれ、それ以降この一件から派生して女性リーダーに関する様々な議論が続いて・・・2012年にラガルド氏が来日し「日本経済の成長の鍵は女性の就業促進と女性管理職を他の先進国並みに引き上げること」を当時の経済同友会の長谷川会長に訴えていたことが頭から離れなかった。日本を元気にするには女性の力をもっと社会に活用すること。あなたならどうする?まるで脅迫に近い問いかけに、当時は山岳修験のドキュメンタリー映画の制作に夢中だったわたくしは、気になりつつも女性の働き方からは距離を置いていた。

 

 映画は何とか形になったが、予想外のいろいろなことが起こって、昨年末に全てを手放したとき・・・ラガルド氏の提言が再び蘇った。

 

 今年の1月からは最近の女性の働き方を知るために、日本経済新聞社が主催する働く女性向けのセミナーや塾に参加して、学び方、教え方の双方を観察してきた。

 日本国の古代史や文化と当時のリーダーの姿は、山岳修験道の学びを通して知る機会を得ていたので、近代以降の洞察は1960年代、70年代の社会人類学者中根千枝氏の著書『タテ社会の人間関係』や精神医学者土屋健郎氏著『甘えの構造』などを読み返して、この国の独自性や違いなどを参考にして土台とした。

 

 通常のリーダー研修であればスキル・アップが中心であるが、エグゼクティブ・コーチングで接している方々を通して知る彼らの関心は、特に女性に限定した場合、健康管理が不可欠であるし、グローバルな視点ではラガルド氏と同じフランス出身の女性の生き方から直接様々な違いを学ぶことでグローバルを理解する構成とした。

 

 これをワシントンDCから来た友人と過ごした一昨日午後に見ていただいた。

「外から日本を見ていていつもハラハラしているので、これが実施できたらヤレヤレようやく遅い一歩がスタートといったところね。とにかく早く始めなさい。ああそれから、最後に、大事なところを見逃すところだった。このプログラムではボランティア活動に触れられていないけれど、リーダーの社会に対するボランティア活動は不可欠なので忘れずに加えておいて!」政治の街ワシントンDCで活躍する女性の頭の回転の早さと信念にもとづいた断定的な話し方に圧倒された。

 

 わたくしは、聞かれた質問に日頃考えていることを加味して端的に応えたけれど、どのようなプログラムにするか、最終判断は勿論あなたが下すの!Good-Luck! 心の中でそう叫びながら次の約束に向かったに違いない。