四世代が集合

 それぞれの家には、その家独自のお正月の迎え方があると思う。私のお正月は、今思えば父の意向を強く反映した両親でつくり始めた小さな正月。一年の感謝を込め、来る年をワクワクしながら、元旦前夜の31日に母の手作りのおせちをはじめとする華やかな料理が並べられ、ゆっくり静かに家族全員で祝う習慣が結婚まで続いた。

 それぞれが結婚後も12月のはじめに「今年の31日はどうするの?」の母からの問いかけに「便乗させていただきます」と、年々伴侶、子供と参加者が増加して賑やかになっても、幼いときとほぼ同じことをくり返してきた。特に結婚後はそれぞれの相手の家の習慣を尊重して、一言「今年の31日は、どうするの」だけ。決して押しつけたり、当然の繰り返しとしては受け止めずに、小さな一言で続いて来た。

 長い間に孫世代はどこに居ても「12月31日はおじいちゃまのところで」が合い言葉のようになっていたようであったが、二人が鎌倉の高齢者の住まいに移ってからは近くに住む妹のとこるから「31日、よろしかったらぜひ」に変わり、両親は主催者から参加者に変わったが、31日の過ごし方は変わらず受け継がれている。

 あれから7年が経過して、一昨日も私と妹のそれぞれの家族全員が揃い、新たに両親にとってはひ孫が一人加わって、四世代の賑やかな明るい年越しに、淡々と守り抜かれてきた両親の無償の家族愛に感慨深い感動を味わい。感謝の思いに満たされた。