宮沢賢治の世界

 早朝、台風は千葉に再上陸と言うニュースを尻目に、東北新幹線で岩手県の新花巻まで行き、宮沢賢治記念館やイーハートーブ館、童話村などを見学する。

 宮沢賢治に関しては、冨田勳先生が2年前『イーハートーブ交響曲』を作曲して、賢治の壮大な世界を見事にステージで再現しておられて大感動した思い出や、最近読んで、なるほどそうだったのかと感動したロジャー・パルバース著『驚くべき日本語』で紹介されているアメリカ人から見た宮沢賢治の日本語の使いかたの巧みさの説得力、素朴で純粋で美しい言葉の響きを評価していたが、実際に賢治が暮らしたその地に足を運んで、山を覆う木々の深い、水田の緑、強い太陽の日差し、爽やかな水の音、鳥の声、風の音など、自然と共にある時間を体験して、はじめて彼の世界を身ぢかに感じることができた気がした。

 とりわけ夜、早池峰山荘の庭から見た空は、台風の置き土産の雲で覆われていたが、お仲間と熱心に”雲消し”を実行して払いのけ、満月に近い月や星々にご登場いただいて、「銀河鉄道の夜」の宇宙の旅の気分を味わった。

 明日は賢治もたびたび登ったと言われている標高1.917mの蛇紋岩で覆われた早池峰山に登り、高山植物を愛でるのを楽しみにしている。ただしコースはかなりハードだと聞いている。