秋はクラッシック音楽が似合う

朝から、週末までにまとめる約束をした50年の歩みをふりかえる。原稿依頼のあった主題に沿った骨組みを作った。まとめながら、自分でもなかなか面白い人生を歩んでいると思った。こんな日の夕方からクラッシック音楽を楽しめるとは・・・幸運な出会いと他者とのよき関わりある幸いに、感謝の思いで満たされる。

友人が理事長を務める音楽財団は、とにかく世界中の有能なアーティストを「大切にしている」ところが他との違いで、理事長ご自身が音楽に留まらない世界の超一流を知っているところが、彼女の視野が広く懐が深い強みがあり、財団の価値を高めている。

今夜のリサイタルは有希・マヌエラ・ヤンケさんのヴァイオリン。彼女の演奏は、これまで聴いて来た最高の出来栄えで、音の奥行きが深くなり、若く美しい彼女に対してこのような表現は相応しくないかも知れないけれど、重厚感が増して驚いた。聞けば、昨年2012年8月からドレスデン・シュターツカペレのコンサートマスターに就任したという。460年の歴史あるオーケストラで、女性のコンサートマスターは初めてとのこと。ドレスデンは壮大なバロックの建築、芸術品や魅力的な風景から「エルベのフィレンツェ」と名づけられていて、大学都市でもあるこの街にドイツで最も大きな図書館があることでも知られている。その都市で認められたのだから、彼女の実力のほどは推して知るべしである。朝から興奮の連続だったが、ショパンの夜想曲第20番嬰ハ短調の余韻と心地よい夜風にあたり、秋はクラッシック音楽が似合うと思った。