明日に繋がる今日の一言【鎌倉の桜】

両親が現在住む、鎌倉の高齢者の施設は、山の上に位置し、深い緑のなか、部屋からは海も見渡せる立地条件と、大き過ぎないサイズで、自立しながらもスタッフの目が行き届いた恵まれた環境に暮らせる幸いを感謝している。両親の娘である私と妹は「娘孝行の親」と感謝を込めて二人を呼んでいる。そんな98歳になる父から「桜が見たい」と声がかかったと妹からの誘いに、仕事を置いて駆けつける。「外は寒いので少し厚着をしましょう」と声をかけると、「わたしは行きません。君たちだけで行きなさい。桜はもういい。」心の中で、仕事を放り出して来たのよ!我が儘な、と言いたいのを我慢して「解りました。では、おばあちゃまだけお借りしますね」と3人で出かけた。妹の運転は混んでいる道を避け、裏道からここが鎌倉で一番という桜並木をゆっくり通り抜ける。うれしそうに桜を見つめて「きれいねー」を連発する母の顔は、桜色に染まってきれいだった。